フェレット里子

里子譲渡済みっ子(本文とは関係ありません

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ペットと暮らす

私を忘れて幸せになって欲しいとフェレットを里子譲渡した人から「皆さんに伝えて」と言われたこと

いたちのおうちは業持ち(保管18東京都保第006136号)なので以前の事務所では紹介のみで細々とフェレット専門でお預かりするペットホテルやペットシッターなどをしていた事があります。

※コロナ禍という事もあり、現在は一切の業務を停止しています。

事務所の引っ越しを機に全てのお客様に「そういう事なので」とご挨拶をさせて頂いたのですが、一人だけ、その後もお付き合いを続けさせて頂いた方がいます。

ベビニョロちゃんをお迎えしたばかりの時に、この記事を見たとして

飼育指導
生後二ヶ月のフェレット
初心者フェレ飼いさんがベビーフェレットの飼い始めに悩むのは当然!いたちのおうちの家庭訪問(飼育指導?)記録【きなこちゃん】

Q. 日本の首都はどこですか? A. 東京 Q. 可愛い生き物は何ですか? A. フェレット って、この2つは同じくらいの回答率だと思うんです、私。 本当に可愛いんですよ、フェレットという生き物は。 ...

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「シッターに来て頂くと言うより、どうしてもうまく出来ない爪切りやその他の事を教えに来て頂く事は可能ですか?」

「飼い主さんが自分でお世話を出来るようになるお手伝いを断る理由はありません。」

というやり取りがメールフォルダに残っています。

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里子に出す事になったらただ幸せに生きていって欲しいから私の事は忘れて欲しいんですって最初は笑い話しと思って聞いてた

最初にお会いした時、「アル中とかじゃないんですけど」って笑っておっしゃっていました。

他の動作ではなんともないのに、細かい作業をしようと手元に集中するとこうなってしまうって、爪切りを持つ手がフルフルと震えていました。

緊張するとそうなる事とか私もあるし、それだけ、お迎えしたばかりの小さくて可愛い可愛いその子に対して「大切」って思いが強すぎるのかなって思ったから、笑って「練習すれば誰でも出来るようになるから大丈夫ですよ!出来るようになるまで何回だって来ますから」ってその日はお手本を見せるだけで帰りました。

ところが、何度通ってもそれは出来るようにならず、それどころか、フルフルだった震えがどんどん大きくなっているように感じたある時

「******ってご存じですか?」

聞き取れなかったのは、それが聞きなれない言葉だったのもあるけど、彼女のろれつが上手く回らない症状がポツポツ出始めていた…んだと思います、今から思えば。

(なんて言ったんだろう?)って多分、顔に出ていたのでしょう

「難病だそうなんです」って、こちらがそれを理解していない事に気が付いて彼女は分かりやすい言葉で言い直してくれました。

…言い直させてしまいました。

言い直させてしまっただけにとどまらず、今ならそれは無神経すぎるとんでも無い発言だって分かるのだけれど、その時は、突然始まったその会話が何を意味しているのか分からず、「難病ってあの治療法が無いとかそういうあれの事ですか?」みたいな事を私は言ったと思います。

だって、それが彼女自身のお話しだなんて思ってもいなかったから…

治らない病気、お世話もしてあげられないのに手放せない悪い飼い主

一人暮らしがいよいよ困難になる前にって近所の親戚のお家を間借りする事になった彼女の引っ越しを私は手伝いました。

その親戚の方にもフェレットについてや飼い方の説明をしたりしたのですが、「高齢の自分にはそんな事できない」と言われ、もうとっくにシッター代は受け取っていなかったけれど、じゃあそれならこれからも私が通ってお世話を続ける許可を下さいって、お家の鍵をもらって、「これからも一緒に育てていきましょう!」って言いました。

が、彼女は笑うだけで、それには答えませんでした。

それからすぐ「まだ歩く事ができなくなったってほどでは無いけど安全のために」と車椅子に乗り始めた彼女は、手が震えるというより腕が大きく揺れるようになっていて、「もう(床にいるその子を見ながら)自分で抱き上げることが出来ないんです、里親さんを探してもらえますか」って言いました。

「里子に出さなきゃいけないかも」はずっと前から何度か聞いてはいましたが、初めてはっきり「お願いできますか?」って言われて、なんとなくいつかそんな風に言われる日がくるんじゃないかとはどこかで思ってはいたけれど心の準備なんかしていなかったから、ダメだと頭が指示を出すのが遅れて止めきれなかった涙を目から落としてしまいました。

最初に聞き逃したあの言葉を改めて聞く機会がなかったから、私は彼女の病気の名前を知りません。

でも、「良くなる事はないんです」とは何度も聞いていたから、それだけは知っています。

時々、彼女は「最初からろくにお世話をしてあげる事もできず、ちゃんと遊んであげる事もできない悪い飼い主」って自分の事をそんな風に言うから、私はその度に悲しくなって、それを誤魔化すように怒って、売り言葉に買い言葉から発展しちゃって、二人とも良い大人なのに喧嘩をたくさんしました。

だって病気なんだからちゃんと出来なくたってそんなのは仕方がないじゃないですか?それでも一緒にいたいって言うなら、私がちょっとお手伝いするだけでそれが叶うならって、そのためにそのお手伝いに私は通っていたわけだし、これからだってずっとそうやって私はいつまでだって何度だってずっとずっと通うつもりでいたんですよ。

もう何回も何十回もそうやって、お互いに感情をむき出しにしてギャンギャンギャンギャン喧嘩をしたから、だから、その後に続いた

「この子が虹の橋を渡る時には楽しい思い出だけにしてあげたい。私のエゴで今日まで付き合わせちゃったけどもう十分。この子が持って行く思い出箱には隙間なく楽しいを詰め込んで、それは私との思い出を全部上から消してしまえるほどに。それくらい楽しいで箱をいっぱいにしてあげてくれる人を探してやって下さい。」

は、いつものあれとは違う、もう何も言い返しちゃいけない言葉だって分かりました。

ペットシッターとお客様から始まって、まぁ、友達とまでは言わなくてもお互いにタメ口で話しをするくらいにまで親しい関係になっていたのが、この時「保護活動者と依頼人」になりました。

「次回までに書類を用意しておきます」

「もう字を書く事は難しいから全てあなたにお任せして良い?」

涙をまたこぼす事がないように、こらえて食いしばって彼女の顔を見る事は出来なかったけど、それでもやっと言えた活動者としての精一杯を秒で崩してきた彼女は続けました。

あなただって死ぬのに何を他人事みたいに捉えて泣いてるの?

「私の病気は今のところ治療法がないから完治はしない、進行を止める薬もないから発症したらこのまま症状が進んでいっていつか死ぬ。
でも、私は病気を発症していなくてもいつか必ず死ぬ。
それはあなたも一緒。
人は生まれてきた時から全員がいつか必ず死ぬ方向に向かって進んでいってるんだから。
そのいつかが漠然としてるかぼんやりとでも見えてるかってだけの差しかないし、なんなら、今日この帰りに交通事故かなんかであなたが先に死ぬ可能性だって無いわけじゃないのに、勝手に私を哀れんだり悲しんだりしないでもらって良い?」

哀れんだり悲しんだりしたつもりは無いけど、彼女にはそう見えたんなら「えっ、あ、なんかごめん」だし、すごいド正論をぶちかまされて「だよね」ってなりました。

ここで一つ大切なお知らせなんですけど

友達
友達
私、死んでないですからね

(↑これだけは伝えてと言われました)彼女とはもう会っていないけど、連絡はたまにとりあいます。

そんなこんなで「いつか記事にしてね」と言われていた事を今日、書きます。

あの子と彼女と私のこと

彼女があの子をお迎えした時、「私は自分が病気だと知らなかった」。

手の震えや足のもつれは時々あったそうですが、緊張しやすい性格(精神的なもの)、加齢によるもの、疲れ、運動不足、等々のせいだと思っていたそうで、ジムやヨガへ通ったりマッサージを受けに行ったりして、今まで蔑ろにしてきた自分の体とそろそろ真剣に向き合おうと、それまでのハード過ぎた生活を改めて「心にも時間にも余裕が出来たから」お迎えを決めたのだと…

ところが、いざお世話をしようと思ったら何をどうやっても上手くできず、それで私と出会う事になるのですが、「マッサージじゃなくて整形外科に行ってみてはどうか」と言ったのは私です。

それでも全然良くならず「なんかおかしい」という彼女に「念のために」と脳外科を紹介したのはその整形外科の先生です。

脳外科の先生から…って、まぁ、そこからの流れはもう良いのですが、

「あの子と出会っていなかったら私は自分の病気に気が付くのがもっと遅れていたと思う。
あの子は私に病気だよって教えに来てくれた天からの使いみたいな子。
だからそれに気が付いた時やっと「ありがとう」って、役目を果たしてくれた天使を今度は幸せにしてあげなくちゃって里子に出す決心ができた。」

そこまでの考えに至るまでには相当な葛藤があった事は推測に容易いかと思いますが、彼女はこの決断「里子にださなくちゃ」をすごく早く出していました。

「フェレットの寿命を考えたらそれは一日でも早い方が良い」って。

その子はもう里子としてお嫁に行って新しいお家で大切に可愛がられてとても幸せに暮らしています。

彼女から皆さんに「伝えて欲しい」と頼まれたこと

飼い主さんは自分の健康をまずは第一に何よりもそれを優先して日々を過ごして下さい。

「自分の事よりまずはこの子のため」は一見するととても美しい精神論に聞こえますが、現実をまったく考えていない無責任な単なるきれいごとです。

あなたがいなければ、誰かが世話してやらなければ、生きていけないのがペットです。

「自分の事はどうでも良い、この子が幸せなら」と私も五体満足で健康な時には思っていましたが、いざ、どうにもならなくなっていく体になったらそうも言ってられなくなりました。

あなたが今手にしてる健康は明日もこれからも先ずっと保証されてるものではありません。

だから今、健康なうちに「自分に何かがあったらこうして下さい」と、その子がその後も安全で安心に幸せで暮らせるよう頼める先を決めておいて下さい。

そしてその先をメモに書いてお財布の中と冷蔵庫に貼っておいて下さい。

それがペット飼う人間の「きちんと最期まで面倒をみる」の責任の取り方だと私は考えます。

でも、一番は飼い主さんに何も起きない事です。

健康診断には必ず行って、おかしいと思ったら必ず病院へ行って、まずは何よりもご自身のお体を優先して下さい。

以上です

まずは、家にペットがいますカードのご用意を

彼女に「あなた達みたいな人が皆のそれになれれば良いんじゃない?」と言われる前から考えていた事ではあるのですが、「家にペットがいますカード」の緊急連絡先欄が埋められないよって方はどのくらいおられるんでしょうかね…?

理由は色々あるでしょうし、それについての異論反論もあるでしょうけど、今日はそんな話しではなくてさ。

前から時々、「いたちのおうちを連絡先にしておいて良いですか?」ってお問合せがあるのですが

  • こちらがすぐに駆け付けられる距離にない場合はその旨をきちんと明記すること
  • なるべく早く駆けつけてくれる方を探すこと(それまでの繋ぎとしてなら)
  • 例えば遠方だった場合、SNSで「私もすぐに向かうので、取り急ぎで向かってくれる方はいませんか?」って方法で良いなら

「良いですよ」ってしてきています。

これさ…

もちろん個人情報を勝手に混ぜこぜにしたりするような事はしないし、勝手にあれこれする事も無いけど、「近場っぽい飼い主さん同士を繋ぐ」みたいな事をしていけたら、飼い主さん達にとって少しでも良い環境を作るお手伝いになれるのかなとかちょっと考えたりする事があるのですよ…

時代は令和だなんだと言ってもやっぱり、SNSの利用自体に抵抗がある人も一定数はいますし、そういうのは「やってない」「分からない」って方も結構いるし…

まぁ、そんなこんなで、まだまだ考えなければいけない事は山ほどあるから、「こうします!」と今はまだ何も言えないのですけど、とりあえず…

家にペットがいますカードを持っていないよって方はこちら(CAD工房LEAF/きなこ舎様より「リンク等、ご自由にしていただいて大丈夫です」と許可を得ています)から無料でダウンロード出来ますので、ぜひ今日からすぐに活用して下さい。

健やかなニョロニョロ生活を☆彡

おしまいに

と、いつもの〆のご挨拶までの簡単な下書きを件の彼女には「こんな感じで良いかな?」と確認をとった後、少し追記したりして今ここからを書いています。

本来ならば、この記事には、その子の元気な写真を載せて幸せに暮らしている姿を皆さまにもお見せした方が良いのかも分かりませんが、それをしていない理由を簡単にお話ししておこうかなと思うのです。

「いたちのおうちの文章は長くて読んでて疲れる」と言う彼女はきっともうこれを見ないはずですから…

彼女は「あの子にはもうただただ幸せになって欲しいから、そのために幸せにしてやれなかった私の事は忘れて欲しい、思い出すことなく。」と思っているのです。

「私があの子に念をおくっちゃあの子にも私にも未練が残るから写真での報告はしないで」って言われました。

「あの子が思う飼い主さんは引き受けて下さった新しい飼い主さんだけじゃないといけない。私の陰がいつまでもチラついたら優しいあの子はきっと迷ってしまうから、私の事は忘れて欲しい。元気で幸せに暮らしているなら私はその報告だけで十分。」だと。

彼女は「あの世とこの世」のお話しみたいな本をたくさん読んでいました。

アニマルコミュニケーションや精神世界の事なんかも色々と調べていました。

だから、これはあくまでも彼女の死生観でのお話しでしかなく、「あの子のために念を繋が(せ)ないで」と頼まれたから、私はただそれに寄り添う形で、あの子の写真はここに載せないっていうだけなのですけど、もちろん、その考え方が合っているのか間違っているのか、これで良いのか悪いのかなんて私には分かりません。

でも、私は何も考えずに「分かった」ってそうしました。

だから、今日の写真はまた別の「幸せに暮らしている子」になります。

最後になりますが、皆さんが今この瞬間から、自分の体をまずは大切にする事を考えてくれたら良いなと思って今日はおしまいにします。

長々と読んで頂きありがとうございました。

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